【文章】
近年、「サステナビリティ」という言葉があらゆる場面で使われるようになった。企業の経営報告書から日常会話まで、その浸透ぶりは目覚ましい。しかし、言葉が普及すると同時に、その意味が希薄化するという逆説的な現象もしばしば観察される。
本来、サステナビリティとは「将来の世代が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たす」という概念を指す。この定義が示すのは、単なる環境保護ではなく、時間軸を超えた公平性の問題である。
ところが実際には、サステナビリティをエコバッグの使用や紙ストローへの切り替えといった、個人の小さな行動変容と同一視する理解が広まっている。こうした理解は完全に誤りとは言えないが、問題の本質から注意を逸らす効果を持つ可能性がある。構造的な変革よりも個人の選択に問題を還元することで、制度設計や産業構造の転換という、より困難だが本質的な議論が後景に退いてしまうのである。
【設問】
この文章の筆者の主張として最も適切なものはどれか。
このジャンルの全 45 問をマスターしよう。
