【文章】
イノベーションという言葉は、今日では「革新」や「新しいアイデア」と同義に使われることが多い。しかし、経済学者シュンペーターが提唱した本来の概念は、より厳密である。シュンペーターにとってイノベーションとは、既存の要素の「新結合」であり、発明(インベンション)とは明確に区別されるものだった。
発明とは、新しい知識や技術そのものを生み出す行為である。一方、イノベーションはその発明を経済活動に組み込み、社会に変化をもたらすプロセスを指す。蒸気機関の発明は18世紀に起きたが、産業革命という意味でのイノベーションは数十年をかけて社会構造全体に及んだ。両者は時間的にも概念的にも別物である。
この区別が重要なのは、政策立案においても同様だ。研究開発(R&D)への投資が発明を促すことは比較的明らかだが、それがイノベーションに結びつくかどうかは別の問題である。特許の数や論文の引用数は発明の指標にはなりえても、経済的・社会的インパクトの指標としては不十分である。イノベーション政策が真に有効であるためには、発明の促進と、その社会実装を支える制度・生態系の整備を、切り離して考える必要がある。
【設問】
この文章から論理的に導ける結論はどれか。
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