【文章】
多文化共生という理念は、異なる文化的背景を持つ人々が互いを尊重し、共に暮らす社会の実現を目指すものである。この理念は、同化主義(マジョリティの文化への同化を求める立場)に対するオルタナティブとして提唱されてきた。
しかし、多文化共生にも理論的な難点がある。文化は静的なものではなく、常に変容・融合しながら発展するものである。「○○文化を守る」という発想は、文化を固定化・本質化するリスクを伴う。また、文化内部の多様性(ジェンダー、世代、階層による差異)を無視し、「ある文化圏の人々」を均一な存在として扱う危険性もある。
さらに厄介なのは、文化的差異を強調することが、時として差別の根拠として利用されうる点だ。「文化が異なるから共存できない」という論理は、表面上は文化論的な装いをまとった排外主義にすぎない場合がある。
多文化共生を真に機能させるためには、文化の尊重と個人の権利保障を切り離さず、制度・構造レベルでの包摂を伴う形で実践されなければならないだろう。
【設問】
この文章で筆者が述べていることとして、正しいものはどれか。
このジャンルの全 45 問をマスターしよう。
