【文章】
意思決定の場面において、「データに基づく判断」はしばしば客観性の担保として称賛される。しかし、データそのものは中立ではない。何を測定し、何を測定しないかという選択、データ収集の方法や対象範囲、そして分析に使用するモデルの前提—これらすべてが、人間の判断や価値観によって規定されている。
歴史的な例を見ると、20世紀初頭に隆盛した優生学は、「科学的データ」を根拠に人種間の知能差を主張したが、その測定方法自体に人種的バイアスが内包されていた。データが「科学的」に見えることが、内包するバイアスを見えにくくしたのである。
現代においても、採用選考に使われるAIアルゴリズムが特定の属性の候補者を不当に低く評価するケースが報告されており、訓練データに含まれる歴史的偏見がアルゴリズムを通じて再生産されることが確認されている。
データを活用することと、データを批判的に吟味することは、相互に排他的ではない。データリテラシーの真の意味は、データを読む能力ではなく、データが「何を語らないか」を問う能力を含んでいる。
【設問】
この文章の論旨を最もよく表した一文はどれか。
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